日本教育工学研究所 4つの教育理念

 日本教育工学研究所では,思考力を鍛える「考究教育」,意志力を鍛える「伴走教育」,創造力を鍛える「問答教育」,実行力を鍛える「自律教育」といった4つの教育理念を基に指導法の研究や教材等の研究開発を行なっております。
それによって短期的に学力を向上させることはもちろん,充実した人生を送るとともに,人生を共有する人に感謝しつつ,高い志をもって広く活躍する人物を育成することを目的としています。
詳しくは以下をご覧ください。

 

1 思考力を鍛える 「考究教育」

 「思考する」とは結論を導き出す過程において,筋道や方法などを模索する精神の活動であると定義されることもあるようです。この他にも色々な視点からの定義があるようですが,共通していえることは「顕在意識」のみが念頭にあるようです。

しかし,「思考する」本質に迫るには「潜在意識」の視点も必要なのではないでしょうか。

文章の中でどの漢字を使うかは,いちいち考えなくても適切な漢字が想起されます。これは「潜在意識下に格納されている漢字」の中から文章の意味に合った「適切な漢字」を無意識に選択しているともいえます。つまり,この場面では潜在意識が「思考している」ともいえるのではないでしょうか。

このことは数学の問題を解く場合でもあてはまることで,「潜在意識下に格納されているロジック」の中から問題解決に「適切なロジック」を無意識に選択しているので,この場面でも潜在意識が「思考している」ともいえるかもしれません。

さらに,思考スピード,検索スピード,計算スピードなども「潜在意識の能力」といえるでしょうし,推理力,直観力,洞察力,発想力さえも「潜在意識下で発揮される能力」ともいえるかもしれません。

これをパソコンに置き換えてみると「顕在意識」がキーボード,マイク,スキャナーといった入力装置や,ディスプレイ,スピーカーといった出力装置に対応し,「潜在意識」が記憶装置,演算装置,制御装置に対応していると考えることもできるかもしれません。

そこで,日本教育工学研究所では暗記事項が潜在意識下に格納され,その知識が瞬時に想起できて初めて「暗記した」と評価し,このことを「覚え切る」とも表現しています。

また,日本教育工学研究所では「ロジックを理解する」とは教え込むことではなく「あ!そうか」と意識したとき,潜在意識下にロジックが設置されたと評価しています。この顕在意識における過程を「考え抜く」とも表現しています。

それに対して,新たなロジックを理解するのではなく,問題解決のために既に格納してあるロジックの中から適切なロジックを選択し組み合わせを試行錯誤している精神状態は「考えている」と表現できるでしょう。そして,試行錯誤を尽くしても同じロジックが堂々めぐりを始めると「迷い」の状態に入ったと表現できるかもしれません。その迷いの状態から脱却する方法は決断しかありません。その決断は自信をもってしなければなりません。そうではなくサイコロで決めたのでは,決断ではなく神頼みでしかありません。決断による失敗は自己責任となり落ち込みますが,次の一歩を前に踏み出すことができます。それに対して神頼みによる失敗は責任転嫁ができて気楽ではありますが,次の一歩を踏み出すことはできないでしょう。

 以上のような視点から,日本教育工学研究所では思考力を鍛える方法として「覚え切る」「考え抜く」そして,決断する自信が持てるまで「やり抜く」ことを基本にした考究教育を提唱しています。

この単元の用語を「覚え切ろう」,この問題を「考え抜こう」ということは精神力というより知的な思考スタミナの問題で,いわゆる基礎学習能力に含まれると思われます。ただ,この知的能力の養成が不十分だと気がついた時から一人でも取り組むことができるので,大きな問題はありません。

これに対して「やり抜く力」は,知的思考スタミナというより意志力に裏付けられた潜在的能力です。最難関中学を受験した人は合否に関係なく大学受験に向けた基礎学習能力さえ身につけていると思われますが,「やり抜く力」までは養成されていないようです。その証拠に,最難関中学合格者がそのまま最難関大学に合格するわけではありません。そこで,この「やり抜く力」の背景である意志力をどのようにして養成するのかが問題となります。そこで,日本教育工学研究所では意志力を鍛える「伴走教育」を提唱しています。

   

2 意志力を鍛える 「伴走教育」

 中学受験・高校受験では日常生活や社会生活が試験内容となっており,専門的な分野の用語や複雑なロジックは登場しません。ですから,教科書に掲載されている用語をイメージするにしても,ロジックを理解するにしても特別に集中しなければならないということはありません。イメージした用語や理解したロジックの思考過程を知識とするための暗記についても,ある程度の目的意識は持たなければなりませんが,強い意志力まで要求されることはありません。それに対して,大学受験の内容は基本とはいえ専門分野の内容になりますので,その用語をイメージするにしても,ロジックの過程を理解するについても集中力がともなわないとできることではありません。ましてや合格できるまでの準備をするとなると,単なる集中力だけでなくそれを継続し「やり抜く」意志力が要求されます。

例えば,高校受験の英単語と大学受験の英単語を比較してみましょう。高校受験の英単語は日常生活における言葉なのでその意味はすべて知っているといえますし,その数も1200語程度です。それに対して大学受験の英単語は抽象的な意味が多く,日本語の意味すら知らない単語も含まれています。そして,その数はセンター試験には5000語,難関校では6000~7000語が必要といわれています。これだけ見てもそれを覚え切るには相当の意志力が要求されると思われます。素晴らしい学習計画を立てて取り組んだにもかかわらず,途中で挫折する人が少なくないのはそのためでしょう。

そもそも,学習計画は3つの視点から作成されます。一般的・普遍的な視点,特殊的視点,そして,個人的視点です。

普遍的な視点からの学習計画は,ちょっとした知識があれば立てることができます。学校のテストに合わせるといった特殊的な視点からの学習計画は学校の授業ペース,試験日,行事といった教材以外の情報がなくては有効な学習計画を作成することはできません。

特殊的な視点からの学習計画を,さらにA君といった具体的個人の視点からの学習計画にする場合には,A君の基礎学習能力・基礎学力・性格などを把握しなければなりませんので,相当の指導経験がなければ最適な学習計画を作成することはできないでしょう。

日本教育工学研究所では30年以上にわたって指導した経験者が面談しながら学習計画を作成します。

最後に問題となるのが,学習計画を立ててもらい自学自習で取り組んでも最後まで実行できない,すなわち「計画を立てるのは易しく,実行するのは難しい」という現実です。

そこで,日本教育工学研究所では学習計画の実行をサポートする学習トレーナーが伴走します。伴走しながら精神状態をチェックしペース配分のアドバイスを行います。必要な場合には学習計画を修正し,初期の学習計画に縛られることなく個人の最適ペースでの学習を実現させます。そうすることによって,「10日継続」「1ヵ月継続」「3か月継続」「100日継続」「半年継続」「1年継続」と継続し,その自信が意志力に変換されていくのです。

ここにおける伴走者には,学習内容のみならず学校環境・生活環境・人間関係といった広範囲にわたる見識が必要です。そこで,日本教育工学研究所では伴走者に対する研修も行っています。

 

3 創造力を鍛える 「問答教育」

 想像力や発想力は幼児でも持っています。生まれて間もないころは,周囲の状況を認識し,その中から直接自分に関係するものを知覚し情報として蓄積している時期と考えられます。

しかし,絵本に興味を示し始める時期には,絵そのものを認識するだけでなく,その絵を刺激として潜在意識下に蓄積した情報を呼び出してイメージ化しているのではないかと思われます。さらに,昔話といったストーリーに興味を持ち始める時期には,そのストーリーの中に入り込んだり,自分で別なストーリーを空想したりといった発想力も養われてくると思われます。発想力は新しい価値あるものを生み出す創造力の前提能力とはいえるでしょうが,単なる思いつきなども含まれるすべての人が持ている能力だと思われます。

創造力は「無から有を造りだす」神の力を表現するために使われていた時代もあったようですが,現在では人間の能力の1つを表現するためにも使われています。

思考するとは,1つの視点から蓄積した情報を組み合わせて新しい情報を作り出していく過程ということもできます。ということは,思考力を鍛えることでより複雑な思考過程のロジックを理解・利用できるようになるということでもあります。

この思考力に対して,創造力はこれまでにない新しいものを創り出す力ですから,これまで持っていなかった新しい視点が必要となります。では,その新しい視点はどこから得るかとなると他の人からということになります。その習得方法には文字,映像,講演,問答などがありますが、問答形式であれば同時に数人の人ともできますし,同じレベルの人だけでなく,高いレベルの人を交えることもできます。

 日本教育工学研究所では,講師との対面問答だけでなく,グループ学習にも問答形式を採り入れています。さらに大学生・社会人を対象として,その分野においてトップレベルの人の前で自分の意見を述べ質問していただく勉強会も行います。

同じ学部の学生・教授の問答,同じ企業内の社員・役員の問答では広い意味では1つの視点からの問答になってしまいます。理系,文系,学校,企業の枠を超えて知恵者が問答をすれば,学校・企業が抱えている問題の創造的解決策だけでなく,国の抱えている問題に対しても創造的解決策が見いだせるでしょう。さらに国境を越えれば地球規模の問題に対しても創造的解決策が見出されるはずです。

その可能性を含んだ問答教育を推し進めていきたいと思っております。

 

4 実行力を鍛える 「自律教育」

 学校・塾・予備校の課題だから勉強する,受験の試験科目だから勉強するといった受身の学習態度を持った人も少なくないようです。このような学習態度でも課題をこなして行けば学力も身につきますし,希望する大学にも合格することもできるかもしれません。しかし,積極的な意味における実行力が鍛えられることはありません。

そこで,日本教育工学研究所では実行力を鍛える方法として「自律教育」を掲げています。この自律教育には4つの視点があります。

  第1は,目標設定の視点。

  第2は,現状を分析する視点。

  第3は,現状分析の結果,目標実現の障害となっている原因を追究する視点。

  第4は,現状を改善し目標達成までの具体的過程を設計する視点。

これができれば後は実行するのみです。そして,目標が達成した時の達成感が自信となり,より高い目標設定へ導きます。

目標設定の視点においては,100%本人の意思を尊重します。第一志望大学と現状の学力がどんなにかけ離れていても否定することはありません。それを実現させるための具体的な方法を提案できるだけの指導蓄積はあります。ただ,現状の学力によって達成までの所要時間は異なりますので,時間的制約がある人はこの時点で再考されるのがよいと思います。

現状分析の視点では学力だけでなく日常生活まで分析する必要があります。現状の日常生活を24時間日記で記録し,それから1年間の学習可能時間を算出し,その時間を受験科目に割り振ります。その結果,第一志望校の合格最低点に届くかどうかは指導蓄積から意見を述べることはできます。客観的に届きそうにない場合には,日常生活を変えて学習可能時間を確保するか,この時点で志望校の変更をするのがよいと思われます。

原因追求の段階では,学力不足である場合は基礎学習能力,基礎学力,応用力といった3つの視点で改善方法を見つけ出します。また,合格学習時間を確保するための日常生活の改善においては活動内容の分析により原因を追究し,その改善策を探ります。

計画設計の視点においては,まず,個人の基礎学力・学習可能時間を考慮して最適な教材を選択し,過去の試験問題,模擬試験日程,学校行事,家族行事などを含んだ年間学習計画を作成します。

次に,その年間学習計画から月別・日々の学習課題を設定します。このとき,休養日と予備日を設定した精神的に追い込まれない学習計画を作成します。

これから先は,学習トレーナーに伴走してもらいながら日々の学習を進めます。学習トレーナーは日常生活を含めた状況を分析し,学習計画を微調整することもあります。

学習面における問題点は講師とのやり取りを通して,できるだけ「考え抜く」習慣を身につけていきます。

また,講師は模擬テストの結果を学習進度との因果関係の視点で分析しアドバイスします。そのための資料として,模擬テストごとに目標点・受験直後の感覚点(答え合わせ前),実際の点数を提出してもらいます。

 第一志望大学合格を達成するためには,日常生活を支えている家族,学習面を支えている講師,学習トレーナー,さらには,休養・気分転換を支えてくれる友人・関係者など多くの方々のサポートが必要です。その方々に感謝しながら,期待に沿えるよう努力する姿勢を学んでほしいと思っております。日々の小さな努力の継続が大きな目標に結実するという達成感を味わってほしいと願っています。

 

       『 大きな志を持って 地道な努力 』

 

 これは日本教育工学研究所の歩みでもあります。

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